風の音(かぜのね)リコーダーアンサンブル

リコーダー

サブコントラバスリコーダー(ペツォルト)

箱型リコーダーで有名なペツォルトのサブコントラバスリコーダー489DBです。
ご縁あって、さる高名な指揮者の方が所有されているこの楽器を、すぎやまが数ヶ月お預かりすることになりました(2024年5月現在)。
持ち主のご許可をいただきましたので、レビュー記事を掲載します。

サブコントラバスリコーダーは、コントラバスリコーダーよりも1オクターブ低い音を出す楽器です。音域が低い分、本体は太く、長くなります。
海外には、直管パイプ形状に作られたサブコントラバスリコーダーも存在するのですが、その楽器は全高が3メートル半〜4メートルにもなり、とても一般家庭に収納できる大きさではありません。
その点、このペツォルトの楽器は、長い管の両端を折り曲げることによって、一般的な家屋の天井高でギリギリ収まるコンパクトな(?)ボディサイズを実現しています。
それでも、全高217センチもありますが……。

全体は5つの部品に分割されていますが、何せ大きくて重いので、一度組み上げてしまうと、容易に移動ができません。
そこで、まずは演奏する場所をきちんと決めて、そこにスタンドを設置してから、足部管〜中部管〜頭部管と順に組み立てて(建てて?)いくことになります。

ペツォルトのリコーダーは合板などの平面的な素材を駆使して非常に合理的に作られた楽器ですが、その構造上、組み立てには少々コツが要ります。
このサブコントラバスの場合も、管体をS字状に折り曲げているせいで、楽器が垂直に立ちにくく、ジョイント部分の気密性にアンバランスが生じやすくなっています。そこを理解した上で、慎重に組み立てる必要があります。
まぁ、慣れれば大丈夫です。

いざ組み上げてみると、やはりなんとも巨大です。
ですが、管体を折り曲げる設計になっているおかげで、この巨体でありながら、なんと吹き込み口は直吹きタイプ(!)。
直吹きヘッドと本体をつなぐ可動式樹脂製ジョイントパーツのおかげで、演奏者の体格にあわせて最適な高さに調整できるようになっています。これは嬉しいポイントです。
ただし、本体が巨大なので、どうやっても演奏者の視界の左半分は楽器で塞がれてしまいます。パート譜は必須ですね。

実際に吹いてみると、この楽器は、想像以上に鳴らしやすいものでした。
直吹きの恩恵でしょうか、意外と少ない息でもきちんと発音できます。
音量は控えめですが、音程はかなり正確だと感じました。
キュングのコントラバスを吹くのと同程度のブレスで、ロングトーンも十分こなせます。
息を吹き込んでから実際に発音するまでのタイムラグが短く、
キータッチも軽いので、かなり速いパッセージでも対応できます。

ただし、構造上、キーの動作音がバタバタと、大きくなりがち。
これをなんとかできないものかと、いろいろ調べてみた結果、
7mm径のレンチを使うと、キーのストロークを調節できるということがわかりました。

ストロークを短くすると、速いパッセージにさらに対応しやすくなり、キーノイズも抑えられていったのですが、やりすぎると今度は音程に影響が出るようになってしまいました。このあたり注意が必要ですね。
でも、根気良くセッティングを詰めていけば、かなり自分好みのキーストロークに調整できることがわかって良かったです。

この楽器はF管(エフかん)ですので、指穴を全部塞ぐと「ファ」の音が出ます。ヘ音記号の楽譜で一番下の線にぶらさがる「ファ」よりも、さらに1オクターブ下。およそ45Hzほど。
まさに「地を這うような」低音です。
もはや「振動」といってもいいくらい。

これをリコーダーオーケストラで吹いてみると、オクターブ上で鳴っているコントラバス(!)にサブコントラバスの音が重なることによって、低音にぐっと重厚感が増すのがわかります。
下支えの音があるのとないのとでは、その差は歴然。
パイプオルガンの低音にも似た、心地よいハーモニーに全身が包まれる、まさに「至福のひととき」を味わえます。

この快感、一度味わってしまうと、もう後戻りできなくなりそうです……。

為替の影響か、最近は輸入楽器が非常に値上がりしてしまいました。この楽器も、今購入しようとすると一体いくらになるのでしょう。
リコーダーオーケストラを頻繁にやるなら一本欲しいところではありますが、そんなに吹くチャンスが多いわけでもないですし、そもそもおいそれと手が出せる価格でもないし、でも音はいいし……やはり、高嶺の花ですね。
ペツォルトのサブコントラバスリコーダー489DB。後ろの襖の高さと比べると、その巨大さがおわかりいただけるでしょうか。知らない人が見たら、これがリコーダーだとは信じられないでしょう。
背面はこんな形です。S字状に折り曲げているせいで、まっすぐ立てるのが難しいです。
組み立て説明書には、「ネジをきつく締めても気密性が増すわけではない」と書かれています。この意味は、実際に組み立ててみると「なるほど」と納得できるのですが、組み立てたことのない人にはなかなか理解しづらいかもしれません。
この巨体でありながら直吹きは嬉しいです。音は素直で、よく鳴ります。

リコーダーは大家族です。

「リコーダーなら、音楽の授業で吹いたよ」という方も多いのでは。

小学校でよく使われるのがソプラノリコーダー、
中学校でよく使われるのがアルトリコーダーで、
この2種類はおなじみですが、
実はほかにもたくさんの種類があります。

写真の楽器は、すべてリコーダーです。

小さい方から順に、
①クライネ・ソプラニーノリコーダー
②ソプラニーノリコーダー
③ソプラノリコーダー
④アルトリコーダー
⑤テナーリコーダー
⑥バスリコーダー
⑦グレートバスリコーダー
⑧コントラバスリコーダー
です。

小さな楽器ほど高い音が、
大きな楽器ほど低い音がでます。
これらを組み合わせて合奏すると、いろんな曲が演奏できます。

ほんとうは上記以外にも
もっといろんな種類のリコーダーがありますが、
当アンサンブルで主に使っているのはこの8種類です。
小さいものから大きなものまで、リコーダーは大家族です。

もとは木製でした。

「リコーダーはプラスチック製」と思われる方が多いでしょうが、
もとは木製の楽器です。
現在でも、木製リコーダーはたくさん作られていて、専門店で実物を見ることができます。

試しに、木製リコーダーで、
同じメーカー・同じ型番のものを複数吹き比べてみると、
その音色や吹き心地が一本一本違うことがすぐわかります。

もちろん、楽器の個性はプラスチック製リコーダーにもありますが、
木製リコーダーでは、それがよりはっきりしています。

木材の種類によっても、さまざまな個性が生まれます。
柔らかい木で作られた楽器は、周りと溶け合うような、柔らかい音がします。
堅い木で作られた楽器は、周りから際立つ、はっきりした音がします。
このようなバリエーションの豊かさに、惹かれる人も多いようです。

好みの音色や吹き心地は人それぞれ違いますから、
木製リコーダーをいろいろ吹き比べてみて、
「これだ!」と思える楽器を探すのも、また楽しいものです。

誤解のないように申し添えますが、
これは単純に「プラスチック製より木製のほうが良い」ということではありません。
「木製には、プラスチック製にはない良さがある」ということです。
裏を返せば、
「プラスチック製には、木製にはない良さがある」ということでもあります。

当アンサンブルでは、演奏環境や曲目に応じてプラスチック製と木製を柔軟に使い分けています。
左はプラスチック製、右は木製のソプラノリコーダー。

レパートリーも幅広く。

一般的なリコーダーは、2オクターブと少しの音域があります。
「ドレミファソラシドレミファソラシドレ…」くらいは実用的な音が出せます。
たいていの歌はカバーできます。

より音域の広い器楽曲でも、異なる音域のリコーダーを組み合わせれば演奏できます。

リコーダーは、とても古くから存在する楽器です。
研究によれば、14世紀の遺跡から発掘された楽器もあるそうで、
700年ほどの歴史があることになります。
実際、バロック期を中心に膨大なレパートリーが存在しています。

有名な曲をリコーダー用に編曲したものや、
現代の作曲家がリコーダーのために書きおろした作品なども数多くあります。

リコーダー、実は守備範囲がけっこう広いのです。

以下、サイズの小さいものから順に紹介していきます。

クライネ・ソプラニーノリコーダー(キュング)

クライネ・ソプラニーノリコーダーです。
ガークラインともいいます。

一般的なリコーダーの仲間としては
最も小さく、
最も高い音域の楽器です。

指穴を全部ふさぐと「ド」の音がでます。
管楽器で、こういうのをC管(ツェーかん)といいます。

ソプラノリコーダーの1オクターブ上の、
「ドレミファソラシドレミファソ…」くらいまででます。
運指表には、さらに「…ラ」も載っていますが、
出すのはなかなか難しいです。

楽器が小さいだけに、
まず指穴をきちんとふさぐのが大変です。
なんせ指穴の間隔が、指の太さよりも狭いので……。
息にも敏感なので、音程を正確にとるのは難しく、
吹きこなすには熟練の技が要ります。

でも、
とてもはっきりした、力のある音がでるので、
アンサンブルの高音域に使うとインパクト大です。

実物を見る機会が少ないだけに、
コンサートで使用すると、お客様には珍しがられます。

写真の楽器は、
スイスの老舗リコーダーメーカー「キュング」社製で、
「ステュディオ」シリーズのクライネ・ソプラニーノリコーダーです。
ペアーウッド材(梨の木)で作られていて、
柔らかさと緻密さを併せ持った音がします。

ただ、高音域は部屋の中では響きが強くなりがち。
自宅で練習する時には、耳栓が欲しいかもしれません…。
この楽器はペアーウッド材の一体成形です。中はどうやって削るんでしょう。
ストレートウィンドウェイです。スカッとした音がでます。
裏にはキュングの刻印が。
とにかく小さいので、指穴をふさぐのにはコツが要ります。

ソプラニーノリコーダー(キュング)

ソプラニーノリコーダーです。

一般的なリコーダーの仲間としては、
2番目に小さく、
2番目に高い音域を持ちます。

指穴を全部ふさぐと「ファ」の音がでます。
管楽器でこういうものを「F管(エフかん)」といいます。

アルトリコーダーの1オクターブ上の、
「ファソラシドレミファソラシドレミファソ…」
くらいまでは実用的な音がでます。
ほんとうはもっと高い音もでますが、
だすにはコツが要ります。

小さな楽器ですが、
先述のクライネ・ソプラニーノに比べると
指穴を塞ぐのもさほど難しくありません。
運指もアルトリコーダーと同じです。
音程もかなり正確にとることができます。

アンサンブルで使うと、
高音域がきらびやかになります。
ソプラノよりも小さな、珍しいリコーダーということで、
お客様からも注目されます。

写真は
スイスの老舗リコーダーメーカー「キュング社」製、
「スペリオ」シリーズのソプラニーノリコーダーです。
2010年に購入しました。

グレナディラという、硬くてずっしりした木材でできています。

遠くまでよく鳴り響く、輪郭のはっきりした音がでます。
息がたくさん入るので、抑揚もつけやすいです。

キュング社自体はスイスのメーカーですが、
このモデルを設計したのは
矢板さんという日本人の方なのだそうです。
クライネ・ソプラニーノに比べると、かなり扱いやすい大きさです。
アーチ型ウィンドウェイです。
息はたっぷり入ります。バックプレッシャーもしっかりあります。鳴らしやすいです。
2管構成です。

ソプラニーノリコーダー(アウロス)

こちらは樹脂製のソプラニーノリコーダー。
日本の老舗リコーダーメーカー「アウロス」社製507Eです。

2004年くらいに購入しました。
現在はモデルチェンジしているようなので、
1世代前の型になります。

出張で京都に行った際に、
ふと入った楽器店で即買いしてしまった覚えがあります。

ストレートウィンドウェイで、素直に高音域が伸びていく感じです。
素朴で伸びやかな音色。
息もよく入り、表情もつけやすい楽器です。

樹脂製の利点はなんと言っても扱いの手軽さ。
パッと吹きでフレーズの雰囲気を掴みたいときなどに重宝します。

耐久性も十分ありますので、
リハーサルに、本番の「ニノ太刀」に、頼りになるアイテムです。
一本持っておいて損はないと思います。
だいぶ年季が入ってきたので、白い部分が変色しています。
ストレートウィンドウェイ。すっきりした伸びやかな音色。
シャンファーはわりとしっかりめ。
3管継ぎです。ジョイント部分は二重構造になっていて気密性十分です。

ソプラノリコーダー(竹山)

おなじみ、ソプラノリコーダーです。
「リコーダー」と聞いて、
多くの方が最初に思い浮かべるのは
このサイズではないでしょうか。

現在でも多くの小学校の音楽の授業では、
このソプラノリコーダーが使われています。
そういう意味では、
数ある楽器の中でも「演奏したことがある」ランキングでは
トップの座に君臨(?)しているようです。

その反面、
「リコーダーは子ども向けの簡易楽器にすぎない」
という誤解がいまだに払拭しきれていない現状があります。

ちょっと関わってみれば、
リコーダーにも他の楽器と同じように
広く深い世界があることはすぐわかるのですが、
その認識が一般的なものになるには
まだ時間がかかりそうですね……。

話がそれました。
ソプラノリコーダーです。

指穴を全部塞ぐと「ド」の音がでます。
C管です。

写真は、
日本を代表するリコーダーメーカー「竹山」製、TS442BB
材質はブラジル黄楊(つげ)です。
2004年に購入しました。

プラスチック製の楽器に比べて、
木製の楽器はとくに、
使い込むほど音が成熟していくのがよくわかります。

この楽器も長年使っているうちに音が成熟し、
今では安定して鳴るようになっています。

緻密かつ繊細で、しなやかに伸びる音色です。
弱音であっても音に芯の強さがあり、
最後部の客席でもしっかり聴き取れます。

リコーダーアンサンブルでは、
ソプラノ・アルト・テナー・バスの4本で合奏するのが一般的で、
ソプラノはメロディを担当することが多いパートです。

他のパートとの調和を保ちながら、
それを支えにしっかりとメロディーを歌いあげる必要があります。

それだけに、品質の安定した楽器を使いたいものです。
タケヤマTS442BB。すぎやまのメイン楽器です。
アーチ型ウィンドウェイ。絶妙なバックプレッシャーがあり、とても吹きやすく仕上がっています。
繊細でしなやかな芯のある音です。長年のオイリングで色がだいぶ深くなりました。
手に取った瞬間の相性の良さというのは、楽器選びの大きな要素の一つだと思います。

ソプラノリコーダー(ヤマハ)

ヤマハのプラスチック製リコーダー2機種です。

左側は、YRS-314B。
右側は、YRS-402B。

314Bは、2000年頃に購入しました。
表面に木目プリントが施してあり、
全体的に落ち着いた雰囲気です。

音色も落ち着いた、ややダークなトーン。

402Bは、2015年に購入。
トウモロコシをイメージした斬新な色合いが目を引きます。
環境に配慮したバイオマス樹脂という材質を使っているそうです。

音色は明るく、煌びやかです。
とくに高音域が非常に発音しやすく、
速いパッセージも楽々こなせます。
若干高めのチューニング(444Hz)で、
ブレスがあまり深くない人でも吹きやすい設計です。

ヤマハのリコーダーはどれも発音しやすく、
一音一音がはっきりしていて、
扱いやすい印象です。
長年使っているうちに、木目プリントはだいぶ剥げてしまいました。

ソプラノリコーダー(スズキ)

スズキのプラスチック製ソプラノリコーダー、
SRE-530です。

PLUMAというシリーズの中でも、
このリコーダーは
「高比重プラスチック」という材質を使用している点で
異彩を放っています。

持ってみると、予想に反して
ズシリと重みを感じます。

よく見ると、
頭部管の吹き口とジョイント部分、
足部管のジョイント部分とベルのパーツは、
ややアイボリーがかった色をしています。
このパーツが、
通常のABS樹脂に比べて重い材質でできているようです。
これは、
木製リコーダーに
象牙などの重い材質を組み合わせるのと同じ発想で、
音の輪郭をくっきりさせる効果を狙っているものと思われます。

実際、吹いてみると、
見た目からは想像できないほどしっかりした芯のある音がでます。

一見なんの変哲もない真っ白なプラスチックリコーダーなので、
その見た目と音のギャップに驚かれます。
そういう意味では、コンサートで使うと面白いです。
見た目と出音のギャップの激しさはピカイチです。

アルトリコーダー(竹山)

おなじみ、アルトリコーダーです。
中学校の音楽の授業で手にしたという方も多いのでは。

穴を全部塞ぐと、
ソプラノの「ド」より5度低い「ファ」がでるので、
ソプラノとの二重奏では、アルトは低音パートを受け持ちます。

でも、
そんな縁の下の力持ち的な立場のアルトが、
ちょっと本格的にリコーダーをやってみると、
実はバリバリの主役であったということを知らされます。

バロックソナタなどでは、
アルトリコーダーが主旋律を歌い、
チェンバロやヴィオラ・ダ・ガンバが低音域を支えるという
組み合わせが主流ですし、
事実バロック時代には
リコーダーをメイン楽器にたくさんの曲が作られています。
ヴァイオリンと並んで、
当時の花形楽器の一つであったとも言われています。

そのように
ソロ楽器としてのアルトリコーダーは大変魅力的なのですが、
一方で、
アンサンブルでの立ち位置はというと、
ソロとは少し異なるようです。

一般的なリコーダーアンサンブルの構成は、
ソプラノ
アルト
テナー
バス
の四声であることが多く、
そこでのアルトは、
主旋律を歌うソプラノとハーモニーを作ったり、
内声を担当したりすることが主になります。

もちろん、
たまにはメロディを担当することもあるのですが、
その旋律はいずれソプラノに受け継がれて曲が盛り上がっていく
というパターンが多く、
最後までアルトが主役の座に居続けることは少ないです。

メロディを吹いて目立つ場面もあるけれど、
つぎの瞬間にはサポート役に徹している、と
アンサンブルのアルトには
単に目立つだけの音でもなく、
周囲に溶け込むだけの音でもない、
変幻自在さが要求されます。

写真は、竹山製アルトリコーダー、TA442BBです。
材質はブラジル黄楊(つげ)です。
2004年に購入しました。
すぎやまの最古参、かつ現在もメインの楽器です。

長年吹き続けてきただけあって、
鳴りは非常に安定しています。
繊細で柔軟で、しなやかに伸びる音が特徴です。
わずかな息の変化にも敏感に反応してくれる高性能な楽器です。

すぎやまはこれを、ソロにもアンサンブルにも使っています。
アンサンブルにもソロにも使える頼もしい楽器です。
ほどよいバックプレッシャーがあります。

アルトリコーダー(ヤマハ)

ヤマハの樹脂製アルトリコーダー、YRA-314Bです。

前述のヤマハソプラノリコーダーYRS-314Bとのセットで、
2000年頃に購入しました。

樹脂製ですが、表面の木目プリントが美しいモデルです。
このプリントが施してあるせいか、
やや落ち着いた、ダークなトーンが特徴的です。

アーチ型ウィンドウェイですが、若干狭めなので、
適度にバックプレッシャーがかかり、
安定した音を出しやすいです。

すこし繊細な印象の音ですが、
音程は正確です。

反面、冬場はしっかり頭部管を温めてから吹かないと、
わりと早めに結露がきます。

ヤマハの楽器は一音一音がはっきりしていて、
きちんと鳴るよう、うまくまとめられています。
樹脂製リコーダーとしては、
アウロスと並んで
入手しやすいメーカーですが、
最初の一本ならこれを選んでおけば間違いはないという
優等生的な楽器です。
長年使ってきたので、木目プリントが剥げています。

アルトリコーダー(アウロス)

アウロスの樹脂製アルトリコーダー、509B-Eです。

アウロスは日本が世界に誇るリコーダー専業メーカーで、
樹脂製リコーダーのラインナップが充実しています。

これは、その中の「シンフォニー」というシリーズの
アルトリコーダーです。
ヤマハと並んで、
高性能樹脂製リコーダーの定番といっていい機種だと思います。

ヤマハが上品にまとまった優等生的な音だとすれば、
アウロスは溌剌とした元気のいい音、といいましょうか。

ウィンドウェイがすこし広い分、息がたっぷり入り、
音の鳴りも太めです。
しっかりとした音がでます。

このあたり、ヤマハの楽器とは方向性がかなり違いますので、
購入を検討中のかたは、
ぜひ実際に吹き比べてみることをおすすめします。

ヤマハよりは、少し使う息の量が多いですが、
たいへん扱いやすい楽器です。

アルトリコーダー(スズキ)

スズキの樹脂製アルトリコーダー、ARE-711です。

特筆すべきは表面の仕上げ。
樹脂製にはめずらしい、艶消しになっています。
これによって、上品な雰囲気が醸し出されています。

また、楽器をもったときに滑りにくく、
安定して演奏できる点もポイントです。

このモデル、残念ながら現在では生産を終了しています。
貴重です。
たたずまいの上品さではダントツです。

アルトリコーダー(モーレンハウエル)

ドイツの老舗リコーダーメーカー、モーレンハウエル製、
プリマシリーズのアルトリコーダーです。
2012年に購入しました。

この楽器、
栗コーダーカルテットが使用していたので
見覚えのある方も多いのでは。

なんといっても
頭部管は樹脂製、
中部管と足部菅は木製という、
そのハイブリッドさが、まず人目を引くところでしょう。

しかし、
実際に演奏したときに感じられる
その吹きやすさと音色の美しさとの絶妙なバランスには
さらに驚かされるものがあります。

ウィンドウェイは比較的広め。息を楽に吹き込めます。
この製作上もっとも手間のかかる頭部管を樹脂製にすることにより、
コストダウンをはかりながら、
中部管以下にペアーウッド(梨)という
比較的柔らかい材質を採用することで、
暖かく、柔らかく、親しみやすい響きを実現しています。

頭部管は艶消し処理されていて、
実物は写真よりもずっと落ち着いた雰囲気です。
頭部管の裏側に転がり防止用の突起があるのも二重丸。

中部管以下はシンプルすぎるくらいシンプルなデザインですが、
これが出音の素直さと絶妙にマッチしていて、
虚飾のない上品な素朴さを演出しています。

総じて、
見た目の奇抜さとはうらはらに、非常に実用的で、
コストパフォーマンスに優れた製品といえます。
上質な素朴さ、素直さ、暖かさを感じる音です。

アルトリコーダー(ゼンオン)

ゼンオンの樹脂製アルトリコーダー、2機種です。

右側は、Giglio G-1Aです。

一見なんの変哲もない楽器ですが、
これは、
すぎやまの知る限り
現在量産されている樹脂製リコーダーのなかで
最高峰に位置する楽器だと思います。

従来の樹脂製リコーダーとは一線を画す音。
一吹きすれば、違いは歴然としています。

反応の速さ、表現の自在さ、音色の美しさ、操作性の良さ、
どれをとっても、
数万円クラスの木製リコーダーを凌駕するのでは
と感じさせるほどの完成度です。

その音色の柔軟さは特筆すべきものがあります。
わずかなブレスの変化にも敏感に反応してくれます。
多彩な表現が可能です。

それだけに、誤解を恐れずにいえば
これは初心者よりも玄人向けの楽器であるとも感じます。

ある程度経験もあって、ふだんは木製楽器を使うけれども、
耐久性のある樹脂製で、かつ表現自在な高性能リコーダーもほしい、
という方にとっては、最適の選択肢といえるのではないでしょうか。


左側は、Giglio G-1A/415です。

これは、世界初の量産型樹脂製バロックピッチリコーダーです。

バロックピッチとは、
一般的なモダンピッチA=440Hz(ヘルツ)よりも半音低い、
A=415Hz(ヘルツ)で調律されていることをさします。

半音低いので、その分、左側のリコーダーは
右側のリコーダーに比べて中部管以降が長くなっています。

右のリコーダーで指穴を全部塞ぐと「ファ」の音が出ますが、
左のリコーダーで指穴を全部塞ぐと「ミ」の音がでます。
でもこれは、バロックピッチの「ファ」なのです。

……???

それじゃ他の楽器と合わせられないじゃないかと
不審に思われるかもしれませんが、その通りです。
現代の一般的な楽器とは合わせることができません。

これは、チェンバロやヴィオラ・ダ・ガンバといった、
同じくバロックピッチで作られた楽器と合奏するために使います。
バロック時代のソナタなどを、このリコーダーで演奏すると、
半音低いぶん、ちょっと落ち着きのある雰囲気がでます。

これがまた、格別なのです。

もとが超高性能リコーダーG-1Aですから、
音色の良さは折り紙付き。
管長が伸びたぶん、音にも余裕が生まれているようで、
個人的には415Hzのほうが魅力的です。

なにより、
バロックピッチの世界がぐっと身近になったのが、
この楽器の最大の功績だと思います。

一般的な樹脂製リコーダーに比べれば確かに高価ですが、
その性能、音色、意義、どれをとっても
この価格でよくぞ製品化してくれたものだと感じています。
最高峰樹脂製リコーダー2機種です。

テナーリコーダー(竹山)

テナーリコーダーです。
このあたりのサイズから、
一般的にはあまりお目にかかる機会がないかもしれません。

長さはちょうど、ソプラノリコーダーの2倍。
指穴を全部ふさぐと、
ソプラノの1オクターブ下の「ド」の音がでます。
C管(ツェーかん)です。

ちょうどピアノの鍵盤でいうと、真ん中の「ド」。
それがテナーの最低音であることからも、
リコーダーという楽器は全体的に音域が高めだ
ということがわかります。

1オクターブ低い音が出ますが、
運指そのものはソプラノリコーダーと同じなので、
ソプラノを吹いた経験があれば、テナーはすぐに吹けます。

……と、言いたいのですが、

実際には、
ソプラノより指穴の間隔がかなり広いので、
楽器を構えるときに指を大きく広げないといけません。
これが最初のうちは辛いかも。

とくに右手の小指は、慣れないうちは穴に届きづらいので、
手が痛い、といわれる方もいらっしゃいます。
そういう方のために、
そこだけキーがついているモデルも現在は多数あります。

それから、小学校で習うソプラノは
「ジャーマン式」であることが多いのですが、
テナーリコーダーは一般的に「バロック式」で作られています。

「バロック式」とは、
たとえば「ファ」の音をだすときに、
右手の薬指・小指も押さえないといけない運指です。

……???

どうしてそんな面倒な運指を採用するのかというと、
この運指で設計しておくと、
ハ長調だけでなく、
ヘ長調でもト長調でも、
いろんな調性の曲にオールマイティーに対応できるから、
なのです。

たしかに
ハ長調で「ファ」を出すことに限定して見た場合には、
薬指も小指も動員しなくてはならないので
煩わしく感じられますが、
そのほか様々な調性の曲を演奏することを考えると、
総合的にはバロック式のほうが有利です。

そんなわけで、
テナーの運指は簡単ですよ、
ただし、
小学校時代のジャーマン運指を、バロック運指に修正できればね、
という話になります。

でも実はこれ、
ソプラノリコーダーをあらためて学ぶときにも
みんなぶつかる壁なのですけれど。

写真は、竹山製テナーリコーダー、TT442Mです。
2006年に購入しました。

材質はメイプル(楓)です。
周りに溶け込むような、柔らかい響きがします。
黄楊(つげ)よりは、穏やかな音です。

このモデルは、キーがついていませんので、
低い「ド#」以下を出すのには少し慣れが必要です。
でも、微妙な音程調整などは
実はキーなしモデルのほうが簡単だったりしますので、
すぎやまはこのテナーを愛用しています。

アンサンブルにおいては、テナーは主に内声を担当します。
和音のなかでも、
微妙な表情を出す音をまかされることが多いので、
テナーがうまく鳴ると、全体の響きがまとまります。
そういう意味で、縁の下の力持ち的な役割です。
竹山TT442M。すぎやまのメイン楽器です。
ソプラノの2倍の長さです。指穴の間隔の違いにご注目を。
低音のパワー感は譲るも、細かい調整が楽な、キーなしタイプ。

テナーリコーダー(キュング)

スイスの老舗リコーダーメーカー、キュング社製、スペリオシリーズのテナーリコーダーです。
2022年に購入しました。
材質はチェリーです。

アンサンブルの中でのテナーリコーダーは、内声を担当することが多いです。
もちろん、
和音の性格を決定づける音を担当するという意味では不可欠な存在ですが、
それでもメロディやバスに比べると、やはり縁の下の力持ち的な立ち位置です。
それだけに、
テナーという楽器そのものも、ソプラノやアルトに比べると、周囲に溶け込むような音が出るように設計された製品が多いようです。
そのため,
合奏中ワンフレーズだけテナーがメロディを担当すると、そこだけ聴こえにくかったりすることも。

そんな中で、
このスペリオシリーズのテナーは、
メーカーも「ソロ演奏に向いている」と公言しているとおり、
発音の明瞭さ、音量の大きさなど、テナーとは思えないほどの存在感を示します。

たとえば、
ソプラノ2本、アルト、テナーの編成なら、
軽やかに、しかし太い筆致のベースラインを描くことができます。

テナー、バス、グレート、コントラバスの8フィート編成では、
重厚な響きに支えられつつも、それに埋もれることなく、堂々としたメロディラインを浮かび上がらせることが可能です。

リコーダー以外の楽器と合奏しても、音量でひけをとりません。

たっぷりと息の入るウィンドウェイ、
比較的太めの内径、
安定性・操作性抜群のキーシステムなど、
それぞれが絶妙のバランスで相乗効果を発揮しており、
全音域で太く、明確に「訴える音」を発します。

ソロ楽器に要求される音の強弱をしっかり表現できるところも特筆すべき点です。
特に低音域のレ、ド#、ドの音量感・安定感は他の追随を許さないものがあります。

もともと基本設計がとても優秀なこのスペリオモデルですが、
同シリーズの他の材質のモデル、
すなわち、ペアー製やオリーブ製のモデルに比べて、
このチェリー製は、比較的軽量であるという点が大きなアドバンテージです。

埋もれない、存在感のあるテナーをお探しの方に、おすすめできる一本です。
キュングのスペリオシリーズ、チェリー材のテナー。全体に太くがっしりしたフォルムです。
たっぷりと息の入るウィンドウェイ。
大きくてはっきりした音は、まさにソロ向き。合奏のなかでも音が埋もれません。
安定性・操作性・耐久性抜群のキーシステム。管が長いので、低音域は特に豊かに鳴ります。ベースラインでも大活躍します。

バスリコーダー(キュング)

バスリコーダーです。

アルトリコーダーの2倍の長さがあり、
全部の指穴をふさぐと
アルトより1オクターブ低い「ファ」の音がでます。
F管(エフかん)ですね。

運指そのものはアルトリコーダーと同じですので、
アルトを吹いたことがあれば、バスはすぐに吹けます。

指穴の間隔は、もちろんアルトよりも広いのですが、
そのぶん最初からキーがついているモデルがほとんどです。

また、
楽器を支える指掛けやストラップがついていたり、
吹き込みやすく本体が曲がっていたり、
クルーク(吹き込み管)があったりと、
いろいろ親切設計なモデルが多いです。

そんなわけで、
実はバスのほうが、テナーよりも楽に演奏できたりします。

ただし、
一般的なバスの楽譜は
ヘ音記号で、しかも1オクターブ下げた形で書かれている
(記譜よりも実際に出る音が1オクターブ高い)ので、
最初は楽器よりも、むしろ楽譜に戸惑うかもしれません。

しかし、
それさえ慣れてしまえば、
バスは初心者の方でも担当しやすいパートといえます。
音符の動きもゆっくりですし。

写真は、スイスの老舗リコーダーメーカー、キュング社製、
「スペリオ」シリーズのバスリコーダーです。
2014年に購入しました。
材質はペアーウッド(梨)です。

息を吹き込みやすいように頭部管が曲がっています。
こういうタイプをニック式といいます。
同様の構造はモーレンハウエルの「カンタ」シリーズや、
ドリーム」シリーズにも見られますが、
吹き込み管を使わない、
このような直吹き(じかぶき)タイプは、
息を吹き込むとすぐに音が出せるのが利点です。

ウィンドウェイがかなり広めで、本体の内径も太めなので、
息がたっぷりと吹き込めます。
それにより、大きくて太い音が楽に出せます。
元気の良い、豊かな響きが持ち味です。

表面は染色仕上げされてありますが、
それによって、
無染色タイプよりは落ち着いた音になっているようです。

このバスは、高音域から低音域まで、とても鳴らしやすいです。
初めてこの楽器を吹いたときに、
最初から最低音のファまで楽に発音できたことに驚きました。

キーも大変優れていて、
安定性、耐久性、操作性、どれも申し分ないです。
これが演奏時の安心感につながっています。

ただしこの楽器は、バックプレッシャーがほとんどないので、
吹き込んだ息は何の抵抗もなくぜんぶ抜けていきます。
勢いよく吹ける反面、肺の中の空気がすぐになくなってしまいます。
慣れないうちは、これで長時間ロングトーンを吹いていると
頭がクラクラしてくるかもしれません。

音の出しやすさ、という点では抜群のモデルです。
反面、
出した音を安定させるには、それなりの練度が要求されます。

そういう意味で、
初心者から上級者まで、幅広く対応できる楽器ともいえそうです。
キュング スペリオ バスリコーダー
操作性抜群のキーシステム。
ウィンドウェイは広いです。
バックプレッシャーが弱いので、肺活量は要ります。

バスリコーダー(竹山)

竹山製、バスリコーダーTB442Cです。
材質はサクラです。
2019年に購入しました。

特筆すべきは、その軽さ。ストラップなしでも楽に持てます。
もちろん、
購入時には指掛けもストラップも付属してきますが。

指掛けは、高さが4段階に調節できます。

クルーク(吹き込み管)つきなので、
基本的に構えやすい構造ですが、
この軽さともあいまって、さらに演奏性が向上しています。

音は、落ち着いていて、上品です。
しっかりと輪郭を保ちつつも、
その周りにふわりとした柔らかい響きをまとっています。

同じ竹山製、同じデザインで、素材違いの
メイプル材のバスと比べると、
このサクラ材のバスは、
音の振動がよりボディに伝わりやすくなっているように感じます。
これが、ソフトな響きに一役買っているようです。

ウィンドウェイは狭めです。
キュングに比べると、使う息の量は少なくて済みます。
音量もキュングに比べれば控えめです。
というか標準的です。
音量はキュングが飛び抜けて大きいので。
それでも、
ヤマハの木製バス(クルークつき)YRB-61よりは、
竹山のほうが、音量は大きいです。

一般に、クルークつきタイプは、直吹きタイプに比べると
音の反応速度では一歩譲りますが、
反面、
クルークからの呼気を頭部管ヘッドキャップ内に一旦溜めてから
ウィンドウェイに送るため、
音を安定させやすいという利点があります。

このモデルも、ピッチの安定性は二重丸。
いい仕事をしてくれる、頼れるバスという感じです。

運指は基本的にアルトと同じですが、
一部一般的な指遣いと異なるところもあります。
たとえばこのモデルでは、
通常0123467で出す「シ♭」が、
012346できちんと出せるように設計されています。
バスにおいて「シ♭」はかなり使う音ですので、
右手小指(7)を使わなくてよいぶん、
運指はかなり楽になっています。

クルークは、2021年からバージョンアップされ、
2分割できるタイプになりました。
モーレンハウエルのデンナーのバスと同じように、
奏者に合わせてクルークの向きを調整できます。

使用してみた印象としては、
新版クルークのほうが、音の締まりがよくなる傾向があるようです。

ただし、
吹き込み口の角度が旧版と微妙に異なっていたり、
可動部が少々フレキシブルすぎるきらいがあったりと、
細かく見れば気になる点がないともいえないので、
新旧どちらのクルークを採用するかについては、
好みが分かれると思います。

すぎやまは現在のところ、一体型の旧版クルークを愛用しています。

ヘッドキャップを外せば直吹きに対応しますが、
本体の軽さと、
ウィンドウェイの狭さからくる絶妙なバックプレッシャー、
さらに運指の楽さとがあいまって、
このモデル、実はとても直吹きしやすいです。
とくに冬場、どうしてもクルーク内の結露で音色に影響が出てしまう季節などは、
思い切って直吹きにしてしまったほうが、よい演奏になることも多いです。

また、このモデルは、
足部管の底部にエンドピンを取り付けることができ、
座って演奏するときなど、
楽器がとても安定するので重宝しています。

そのような意味で、
大変使い勝手の良いモデルに仕上がっています。
とにかく軽く、吹きやすい、竹山TB442C。
クルークつきは音を安定させやすいです。すぎやまは旧版を愛用。
ヘッドキャップを外せば直吹きもできます。
エンドピン。細身ながら安定感があります。

バスリコーダー(アウロス)

アウロスの樹脂製バスリコーダー、533B(E)です。

同社の樹脂製バスには
直吹きタイプ521B(E)もありますが、
こちらの533B (E)はクルークつきタイプです。

樹脂製バスリコーダーは、
ヤマハも直吹きタイプYRB-302Ⅱを出していますが、
樹脂製のクルークタイプで探すなら、
事実上、このアウロス533B(E)の一択でしょう。

たいへん吹きやすく、安定感のある、素直な音です。
とくに低音域はしっかりと出る印象です。

同じアウロス製でも、
直吹きタイプ521B(E)のほうは
比較的軽やかな音ですが、
こちらのクルークつきタイプ533B(E)のほうは、
どっしりと落ち着いた響きです。

このあたり、同じメーカーの製品でも
モデルによってはっきりとキャラクターが異なりますので、
購入をご検討の方は、
ぜひ実際に吹き比べされることをお勧めします。

価格は直吹きタイプ521B(E)のほうが安いですが、
音はクルークつき533B(E)のほうが上品です。

一般に樹脂製楽器は、
木製楽器に比べて、固く、重くなりがち。
このバスも、やや重めです。
ですがその分、
響きはしっかり、くっきり、どっしりしています。

キーは軽く、ストロークも短めで、操作性に優れます。

指かけは着脱可能なタイプが付属しています。
自分の指にあうよう微調整ができるのは嬉しいです。

ただし、このバス、
若干、結露しやすい傾向があるようです。
とくに冬場は、しっかりと温めてから演奏するとよいでしょう。

ちなみにクルークタイプの場合は、
頭部管よりも
クルークそのものの結露が音に大きく影響するので、
とくにクルークを、しっかり保温しておくことをお勧めします。

保温の手間さえいとわなければ、
この樹脂製バス、木製バスと互角に渡りあえます。

これほどのクオリティの楽器を、樹脂製で量産してしまう
アウロスの製品開発力には、正直脱帽です。

単純に価格だけを見れば、
樹脂製リコーダーとして「お求めやすい価格」
とはいえないかもしれません。
しかし、
素材に関係なく、純粋に「楽器」として見た場合、
このレベルの音が、この価格で手に入るのであれば、
コストパフォーマンスは抜群といえましょう。

なお、
このモデルもヘッドキャップを外すと直吹きが可能です。

その場合、音の反応性は向上しますが、
楽器が長く重いので、
安定して構えるには少し慣れが必要になるでしょう。
とくに右手の薬指、小指は辛いかもしれません。
樹脂製ですが、扱いやすく、音も上品です。木製に引けを取りません。
吹きやすいクルークです。ただし冬場は若干結露しやすいです。温めるなら頭部管よりクルークを。
指かけは着脱式です。自在に微調整ができます。
ヘッドキャップを外せば直吹きもできます。

グレートバスリコーダー(キュング)

スイスの老舗リコーダーメーカー、キュング社製、
「スペリオ」シリーズのグレートバスリコーダーです。
材質はメイプル(楓)です。
2010年に購入しました。

すべての指穴をふさぐと、
テナーの1オクターブ下の「ド」の音が出ます。
C管(ツェーかん)です。

長さがテナーの2倍、
およそ1.5mほどもありますので、
頭部管を折り曲げて(ニック式)、
直吹きタイプにしてあります。

ストラップで首から下げて演奏しても、
床に置いて座って演奏しても、
エンドピン(別売り)を取り付けて立って演奏しても、
どれでも非常に演奏しやすいモデルです。

頭部管の曲がっている部品は
上下どちら向きにしても組み立てられ、
管全体における屈曲ポイントを変えられます。
これにより、
座って演奏するときに
吹き込み口の高さを調整することができます。

音の反応性がよく、キーの操作性も抜群で、
非常に扱いやすい楽器です。
かなり早いパッセージでも吹きこなすことができます。
これなら、
8フィート編成(テナー・バス・グレート・コントラ)
で、細かい音符があっても楽々です。

ウィンドウェイはかなり広め。
大量の息を吹き込めるので、
たっぷりとした、大きくて太い音が鳴ります。
特に低音域の迫力は圧倒的です。

ただし、
バックプレッシャーがほとんどないので、
肺の中はすぐ空になってしまいます。
慣れないうちは
この楽器でロングトーン練習をして、
よく酸欠状態になっていました。
肺活量も、下腹の支えも、
かなり鍛えられる楽器といえます。


ところで、
グレートバスの楽譜はヘ音記号で、
1オクターブ低く記譜されるため、
実際に出る音は
記譜上の音符よりも1オクターブ高くなります。

しかもC管なので、
ヘ音記号だと思って油断していると
運指をF管のバスと混同しがちです。

で、がんばってヘ音記号のC管運指を練習して、
やっと慣れてきたと思ったら、
日本ではなぜか
C管の楽譜をト音記号で書く場合があって、
グレートバスもト音記号で記譜されることがあります。

……???

要するに「テナー読み」をすればいいと
頭ではわかっていても、
とっさに指は動きません。

というわけで、
グレートバス、意外と運指ミスしやすいです。

リコーダーの世界には
吹奏楽のように楽譜をinFで書く習慣がないため、
C管とF管で2通りの運指を覚えなければなりません。

さらに、ここにト音記号とヘ音記号が加わると、

ト音記号のC管運指(クライネ・ソプラノ・テナー)
ト音記号のF管運指(ソプラニーノ・アルト)
ヘ音記号のC管運指(グレートバス)
ヘ音記号のF管運指(バス・コントラバス)
と、
4通り覚えないといけません。

コンサート中に
楽器の持ち替えがあるときには要注意です。

個人的にはもう慣れてしまったのですが、
あらためて考えてみると、
けっこうややこしいことをやっているのですね。
ニック式なので、大きさの割に扱いやすい楽器です。
屈曲管を上下ひっくり返すと、高さが変えられます。
ウィンドウェイはかなり広め。バックプレッシャーはほとんどなく、かなり肺が鍛えられます。
操作性・安定感ともに抜群のキーシステム。ただし、グレートバスは楽譜を読むのがややこしいです。

グレートバスリコーダー(モーレンハウエル)

ドイツの老舗リコーダーメーカー、モーレンハウエル社製、デンナーシリーズのグレートバスリコーダーです。
材質はペアーウッド(梨)です。
2022年に購入しました。

キュングスペリオのニック式グレートバスと比べると、こちらは一直線のフォルム。
頭部管のヘッドキャップ側面から、吹き込み管を差し込めるようになっています。
実は、このヘッドキャップの内部構造にこそ、このリコーダーの最大の特徴があります。

一般的なヘッドキャップ内部には、ブロックとの間に、ある程度の空間があり、そこに呼気を一旦溜め込んだ後、一定の圧力でウィンドウェイに送り込む構造になっています。
この方式は、ウィンドウェイに導かれる空気の流量が安定するため、ピッチを安定させやすく、加えて、吹き込み管のおかげで、大きな楽器でも無理のない姿勢で構えることができるというメリットがあります。
反面、呼気が音になるまでのタイムラグは大きくなりがち。
この点は、直吹きタイプに軍配があがります。

では直吹きタイプは万能かというと、実はそうでもありません。
敏感に反応するということは、わずかな呼気の乱れがそのまま音に反映されてしまうということでもあります。
その分、コントロールは難しくなるのです。

大型管における「吹き込み管か、直吹きか」の好みは、このあたりのどれを優先するかによって分かれるのだと思います。

その点、このデンナーのグレートバスのヘッドキャップは、非常にユニークな構造をしています。

ヘッドキャップを裏返してみると、そこに差し込まれる頭部管のブロック面の高さぎりぎりまで、天井面が下げてあるのがわかります。
その高低差、わずか1ミリ。
ヘッドキャップ天井面には、吹き込み管からウィンドウェイまでの、最短距離の気道が掘ってあるだけで、ほかに呼気が溜まるスペースがほとんどありません。
つまり、吹き込み管からウィンドウェイまでがほぼダイレクトに直結される構造になっているのです。
これにより、このグレートバスは、吹き込み管タイプであるにもかかわらず、まるで直吹きタイプのような反応の速さを実現しています。
それでいて、吹き込み管の内容積分だけは呼気を溜め込む空間になるので、良い塩梅の「遊び」も生まれ、これが音の安定性につながっています。
ちょうど、吹き込み管タイプと直吹きタイプのいいところ取りをしたような印象です。

実際に吹いてみると、出音はかなりダイレクトな印象です。
大きく、骨格ががっしりとしています。
キュングと比べると、音量感・反応速度はほぼ同じくらいですが、
周囲に広がるように響くキュングに対して、
このデンナーは直線的に音が飛んでいく感じです。
このあたり、肉厚で重量のある楽器本体の構造が効いています。
楽器を構えたときの印象は、キュングよりもデンナーのほうがズッシリときます。

ウィンドウェイは、キュングに比べてかなりコンパクトです。
その分、比較的少ない息で安定したロングトーンを出せるようにはなっています。
ただし、誤解のないように付け足すと、
これは全長1m半もある大きな楽器なので、しっかり鳴らすには、それなりの下腹の支えは要求されます。

ちなみに、ヘッドキャップをどの方向に回転させても音は鳴るので(音質は変わりますが)、どの方向からでも呼気を通す最低限の内容積は確保されているようです。

エンドピンが付属しており、立奏・座奏ともに大変演奏しやすくなっています。

首から吊り下げるストラップも長さ調整のしやすさはピカイチです。
ただし、ヘッドキャップがほぼ「木の塊」なので、頭部が重く、その分、重心が上のほうに寄っています。
ストラップで吊り下げたときの楽器の安定性は、キュングに譲ります。

それから、前述の特殊な構造ゆえ、比較的結露の影響を受けやすいです。
冬場の結露対策(特に吹き込み管の保温)はしっかりしましょう。

キーシステムについては、
同じ高さの音を複数の指遣いで出せるように工夫されています。
これにより、さまざまな音量や微妙なピッチ調整ができるようになっています。

総じて、大変扱いやすく、音も良い楽器です。
これ一本入るだけで、アンサンブルの重心がぐっと下がり、安定したサウンドになること間違いなしです。
決して安い価格ではありませんが、導入するだけの価値は十分にあります。

グループに一本、いかがでしょうか。
モーレンハウエル製、デンナーシリーズのグレートバスリコーダー。
上が頭部管、下がヘッドキャップです。余分な空間がほとんどなく、吹き込み管からウィンドウェイまでがほぼ直結するような構造です。ウィンドウェイはコンパクトで、比較的少ない息でしっかり鳴ります。
エンドピンは伸縮調節可能です。ロッド部分を外して、黒い台座部分だけで使用すると座奏に最適な高さに。台座部分の底面にもクッション加工が施され、床を傷つけない配慮が心憎いです。
同じ音を複数の指遣いで出せるよう設計されたキーシステム。かなり細かい調整が可能です。

コントラバスリコーダー(キュング)

スイスの老舗リコーダーメーカー、キュング社製、
「スペリオ」シリーズのコントラバスリコーダーです。
材質はメイプル(楓)です。
2017年に購入しました。

すべての指穴をふさぐと、
バスの1オクターブ下の「ファ」の音が出ます。
F管(エフかん)です。

バスの2倍の長さ、およそ2mもあります。
重さも5kgほど。

このサイズになると、さすがに持てませんので、
楽器を床に据え置いて、
そのそばに立つか、座るかして演奏します。

運指そのものはバスと同じです。

コントラバスの楽譜は、
ヘ音記号の実音表記です。
記譜どおりの音がでるので、
楽譜はとても読みやすいです。

金属製の長いクルークは上下に分割でき、
長さや向きを調整できます。

このクルークには、
内に溜まった水滴をキャッチする
キャップがついていますが、
長時間練習すると、
ここに水滴がいっぱい溜まります。

大きな楽器になればなるほど、
息を吹き込んでから
実際に音がでるまでのタイムラグが大きくなりますが、
このコントラバスは、
それがとくに顕著です。
周りのパートに少し先行するつもりで吹くと、
ちょうどいいタイミングで発音できます。

しっかり鳴らすには、
まとまった量の息をドンと入れる必要がありますし、
ロングトーンを安定させるには、
それなりの肺活量と下腹の支えが必要です。
音の立ち上がりをはっきりさせるには
タンギングや唇の開き具合にもコツが要ります。

等々、細かい留意点はありますが、
このコントラバスには
しっかりとバックプレッシャーがあるので、
大きな楽器のわりに、
吹くこと自体はさほど難しくないです。

音は、とにかく朗々と響きます。
大きく、太く、どっしりとした低音です。
音の芯もしっかり聴こえます。

ペツォルト製の箱型コントラバス
大きくて軽快な音と比較すると、
キュングのほうが重めで芯があり、落ち着いた音です。

メック製の直吹きコントラバス
反応が早くて上品で繊細な音と比較すると、
キュングのほうがタイムラグがありますが、
音量は大きいです。

グレートバスと一緒に吹くと、
ハモりが心地よい振動となって身体に伝わってきます。

バスのオクターブ下でコントラバスを重ねると、
アンサンブルの重心がぐっと下がって、
とても安定した響きになります。

個人的には、
8フィート編成時(テナー、バス、グレートバス、コントラバス)
の重厚な響きが気に入っています。
キュング製コントラバス。全長2mもあるので、うっかりしていると、持ち運ぶときにあちこちぶつけます。
楽器が大きいので、ほとんどの指穴にはキーがついています。このキーは操作性・耐久性ともに申し分なく、安心して演奏できるようになっています。キュングはキーシステムが本当に優秀です。
純正のマウスピースは内径が14mmもあるので、出したい音色に合わせて唇の形を変える必要がありますが、それを長時間保つのが難しければ、内径の狭いマウスピースに交換してしまうという手もあります。すぎやまは、リコーダー製作家の石館知子さん製作のマウスピース(内径8mm)を愛用しています。
本体の大きさに比べて、意外にコンパクトなウィンドウェイ。このモデルは、クルークの差し込み口がヘッドキャップの中心からわざとずらしてあるので、ヘッドキャップの向きを変えることで、クルークの差し込み口からウィンドウェイまでの距離を変えられます。これにより、音の立ち上がりや伸びの印象を微調整することができます。

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